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結婚記念日物語4〜結婚30周年(真珠婚式)〜

思い出の結婚写真

私の実家には、両親の結婚写真があります。若くて美しい母が真っ白なドレスに身を包んで微笑み、タキシードを決めた父に寄り添う写真は、幼い頃から私にとっての「理想の結婚」の写真でした。普段の両親のイメージからは遠いその写真がキラキラして見えていました。リビングの棚にいつも飾られているその写真は、白い真鍮の写真立てに飾られ、小さな頃の私はそれを「お姫様の写真」と呼んでいました。

父の想い

大学生になってから独り暮らしをし、大学で出会った男性とお付き合いを始めました。

お互いが卒業して就職するタイミングで結婚の話が出てきて、私の両親に挨拶をしました。

両親にとっても彼は好印象で、初顔合わせはつつがなく進みました。お酒の入った父は上機嫌で、私をよろしく頼むと何度も頭を下げていました。母はそんな父を見て自分の父親を思い出したのか、涙ぐんでいました。終始和やかな雰囲気でほっとしたのを覚えています。

そこで彼が、リビングに飾ってある両親の写真に気がつきました。「素敵な結婚写真ですね」と彼が言うと、母は笑って「うちはね、フォトウェディングだったのよ、学生結婚でお金がなかったからね」と言いました。

「結婚式も披露宴も出来なかったの。私とパパ(私の父のことです)はそれで不満はなかったんだけどね、あの頃は披露宴で人をいっぱい呼ぶのが普通だったの。バブルのころだったしね。親戚や友達には不思議がられたわあ、一生に一度のことなのにどうして写真だけで済ますのかって。もったいないって」

初耳でした。両親がフォトウェディングだったことも、理想の結婚式の写真だったものにそんな背景があるとは知りませんでした。

お酒で赤くなった父が彼を見て、母を見て、最後に私を見ました。

「だからな○○くん(私の彼氏です)、娘にはなあ、結婚式をあげさせてやりたいんだよなあ。今はコンパクトな結婚式が流行りらしいけどさ。籍だけ入れるってのも珍しくないらしいしさ。でも、こうして形だけでも残してやるのは大事なんだよ。こうして若い頃を振り返るきっかけになるだろ」

懐かしそうに父は結婚写真を見て、

「これを見ると、お金がなくて結婚式をあげられなかった頃思い出すんだよ。学生だったからさ、お金がなくてさ、結構苦労もさせたわけよ。ママを大事にしようって思えるんだよ。仕事頑張ろうってさあ」

普段も母のことが大好きな父ですが、こんな風に娘の私の前で昔話をするのは初めてです。父がこの写真に思い入れがあったということを聞くのも初めてで、意外でした。

「夫婦円満の鍵は、一番綺麗な頃の奥さんの写真を持っとくことだぜ」

最後に余計なことを言った父が母に怒られていました。

私の結婚写真

それから1年、交際してから2年と5ヶ月で私たちは結婚の運びとなりました。

私の母と二人でドレスを選んだ日のことです。フィッティングルームから出てきた私を見て、母は笑いながら泣いていました。

「○○くんが今日居ないのが残念ね」と言いながら涙をこぼす母を見て、私も少し泣いてしまいました。

両親の強い希望で、結婚式と披露宴もしっかりやりました。

もちろん二人でドレスアップした姿で記念写真も撮りました。本ではなく額装にしてもらったものを受け取ったとき、なんだかとんでもない宝物を持っているような気がして胸がつまる思いでした。いつも追いかけていた両親の背中に追い付いたような気がしたものです。

お姫様の結婚写真

結婚式を終えてすぐに新居に引っ越した私たちは、仕事で覚えることも増えて忙しい毎日を送っていました。ある休日、夫と二人で掃除をしていたときのこと。寝室を掃除しているときにふと、結婚式の写真に目が止まりました。忙しい毎日にかまけて掃除を怠っていた結果、薄くほこりが積もっていたのです。

濡らしたキッチンペーパーで拭きながら、ぼんやりと実家のことを思い出しました。

そういえば、実家の「お姫様の写真」には、ほこりが積もっていたことは1度もなかったな……。

そのとき初めて、母がどんなにあの結婚写真を大切にし続けていたのかが分かったのです。いつも掃除を欠かさず、二人の思い出をそれは大切にしていたのです。

母の思いが伝わり、涙が止まりませんでした。寝室で写真立てを拭きながらぽろぽろ泣いている私に気づいた夫がどうしたのかとあわててティッシュを待って来ました。

事情を話すと、夫も少し涙ぐんでいました。二人でしんみりしていましたが、そうだ、いい考えがあるよ、と夫が言い出しました。

「二人の結婚記念日にさ、一緒に写真を撮ったらいいよ」

もうすぐ両親は結婚30年目を迎えます。その記念日に、私を入れて結婚記念写真を撮ったらいいじゃないかと提案してくれたのです。

いい考えだ!と思い、すぐに実家に電話しました。「パパが良いなら」と母は言いましたが、父なら絶対に良いと言うに決まっています。

結婚30周年(真珠婚式)

結婚30年の記念日に、実家近くの写真館で写真を撮りました。父はビシッと髪もオールバック、三つ揃いの一張羅でしっかりコーディネートされていました。母は何十年ぶりかに着物を着ていました。

二人とも、普段はラフな格好を好みますしおしゃれして出掛ける機会もないのでとてもはしゃいでいて、わが両親ながら微笑ましい気持ちでした。

写真館で結婚30年の写真を撮ってもらうとき、カメラマンに「素敵なお召し物ですね」と言われて気持ちよくなった父が、自分のスーツの自慢をしだしたのを止めるのは大変でした。

結婚記念写真は後日受けとることにして、せっかくおしゃれしたんだしこのまま家に帰るのもなんだかなと思い、ホテルのカフェに誘いました。

2つのの結婚記念写真

ホテルの大きな窓から見えるお庭を眺めながら、自分の結婚式の写真にほこりを積もらせてしまったこと、母がこまめに掃除していたことを知り、どれだけ思い出を大切にしていたかを知った、ということを話しました。

母は目を丸くして、「そういえばそうね」と言いました。

「私だって新婚のころは全然だったわよ。写真立てってすぐにほこりつもるしね。でも写真立てをこまめに磨くなんてしなかったわよ」

私はビックリしてしまい、「だって実家の写真、いつも綺麗だったよ?」と聞き返しました。

母は懐かしいような目をして、「それはあんたが生まれてしばらくしてからよ」と言いました。

「あんた、小さい頃あの写真が大好きだったでしょ?お姫様の写真って呼んでたじゃない。お姫様の写真にほこりが積ってたら、あんたの夢を壊しちゃうと思って磨いてたのよ」

「そうだったの……」

黙って聞いていた父がニヤリと笑って私を見て、「お前が大事にしてくれたからなあ、ママもあの結婚写真を大事にしていたんだよ、お前のお陰だよ」と言いました。

涙もろい私はその一言で決壊してしまい、ホテルのカフェで人目もはばからず泣いてしまいました。父はケロッとして「泣き虫だなあ」と笑っています。

「いやねえパパ、すぐ泣かすんだから」と母は呆れていました。

あの日、両親と私と3人で撮った結婚記念写真は、母が選んだ写真立てに飾られて「お姫様の写真」の隣にあります。母いわく、写真立ての選び方は掃除のしやすさらしいです。

あれからは、私たちの寝室に飾っている結婚式の写真にほこりが積もったことはありません。私はあまりこまめに掃除する性格ではないのですが、きっと夫が拭いてくれているのでしょう。

いつか私に子供が生まれたら。私と夫が写る写真を見せて、結婚式の話を聞かせてあげたいなと思います。

そして、実家に帰ったときには、2つ並ぶ思い出の結婚記念写真を手にとって、たくさんの話を聞かせてあげたいなと思います。

結婚30周年(真珠婚式)祝い・結婚記念日写真は福岡市フォトスタジオ原田写真館(香椎参道通り)

結婚記念日ホームページ http://wedding-haradaphoto.com/

オフィシャルホームページ https://www.harada1969.com

結婚記念日フォトギャラリー
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